統合失調症は、100人の1人くらい発症すると言われており、決して珍しい病気ではありません。
ところが、この病気に対する恐れや誤解や偏見まだまだ根強く、2002年には名称が精神分裂病から統合失調症に変更されました。
統合失調症とは、大きく言えば精神のまとまりを欠いた状態であり、思考と知覚の独特な歪曲と、不適切、あるいは鈍磨した感情によって特徴付けられます。
統合失調症の原因はまだ解明されておりません。
しかし、脳の研究の進歩により、統合失調症との関連がわかってきたこともあります。
例えば、統合失調症の患者の脳では、前頭葉、側頭葉、基底核、大脳辺縁系などで、機能障害が起きていることがわかっています。
また、ドーパミンという脳内神経伝達物質の分泌過剰や、それを受け入れる受容体(レセプター)とのバランスの崩れで、ドーパミンが脳内に増えすぎることにより障害が起こるのではないかとも考えられています。
ただし、ドーパミンと統合失調症の具体的関係については、まだわかっておりません。
統合失調症の治療には、早期発見・早期治療がなにより大切です。
特に家族など周囲の人たちが、早く患者の異変に気付いてあげて、本人を説得して医療機関に連れて行くことが必要です。
統合失調症の治療は、薬物療法が中心になります。
幻覚(幻聴)や妄想など陽性症状に対しては、抗精神病薬を使います。
ただし、陰性症状に対しては、抗精神病薬があまり効かないので、抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬などを使うこともあります。
いずれにせよ、統合失調症は精神療法だけでは効果はありません。
急性期など、症状によっては入院が必要な場合もありますが、最近では治療薬などの進歩もあって、通院治療が大部分です。
回復期や慢性期の患者に対しては、薬物療法とともに社会復帰のためのリハビリテーションが必要になることもあります。
陰性症状の患者は、対人関係がうまくいかず社会に適応できないことが多いので、医師、看護士、臨床心理士などの専門家がチームを組み、人間関係や社会生活がスムーズにできるように支援します。
レクリエーションや作業療法や運動療法などを通じて、低下している意欲を高めたり感情面の改善を進め、生活技能訓練(SST)で生活に必要な技能を身に付けさせるなどの支援を行ないます。
統合失調症などの精神疾患には、同じような境遇の家族が集まって情報交換をしたり支えあったりする家族会などが、全国規模のものから地域的な会にいたるまで数多くあります。
このような家族会に参加することは、治療効果を上げるうえでもプラスになるでしょう。